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Green Highlander

フライフィッシング用語辞典

Fly Fishing Dictionary


Wasp
Wasp Fly, Berners
   
こうせつれっとうじょうちゅう(広節裂頭条虫) 《有害生物》
 人に感染する寄生虫で、扁形動物に属し、学名はDiphyllobothrium latum。俗称「さなだ虫」で、成虫は真田ひもによく似ていて、白くて平たい。ヒトがこの虫の第2中間宿主であるサケ・マス・スズキ(ことにサクラマスでは高率に寄生している)を食べるとプレロセルコイドがヒトの腸に寄生し、1ヶ月もたつと成長して3メートルの長さとなり、長くなれば10メートルにもなることがある。魚に寄生しているプレロセルコイドは長さ1〜3センチメートルの白く細長い虫体で、丸まった形で魚の筋肉内にいるので、注意深く観察すれば見つけられる。
 感染した場合の症状は一般に軽く、腹痛、下痢程度のことが多い。多くの場合、便の中に白くて動く虫を見つけてびっくりして病院を訪れることになる。このように早めに発見されればよいが、慢性になるとビタミンB12欠乏症や腸閉塞をきたすことがある。駆虫剤としてはビチオノール、パロモマイシンが有効。
 予防としては、サケ・マス類、ことにサクラマス(サツキマスも)を生で食べないこと。マイナス5℃くらいの冷凍ではプレロセルコイド数週間も生きていることが確認されており、鱒寿司で感染した人も多い。オードブル、薫製もあぶない。だから、十分に火を通して食べるべきだろう。第1中間宿主はケンミジンコであり、渓流〜里川のイワナ・ヤマメもプレロセルコイドを持っている可能性がある。安全なのは源流部のイワナくらいだろう。
 日本での患者の発生分布はサケ・マスの分布とよく一致している。欧米では、北欧、アイルランド、シベリア、北アジア、中国、北アメリカで患者が発生している。この寄生虫症は日本で現在でも見られ、近年のグルメブームにより増加傾向にあると指摘されている。
 
 
図挿入(プレロセルコイドのカラー写真)
 
 
 
【資料】フライの雑誌 5: 1988. 標準医動物学、2003 (1986)。http://www.pref.aichi.jp/eiseiken/index.html
 
 
サケ属 《魚》
 サケ科サケ亜科Salmoninaeサーモニニーの一つの属で、属名はOncorhynchusオンコリンカス。このOncorhynchusというラテン語は"鼻が曲がった"という意味で、オスの産卵期の状態のこと。
 サケ属に含まれる魚種は、太平洋サケ6種、ヤマメ、アマゴ、ビワマス、クニマス、タイワンマス、ニジマス(レインボウ・トラウト)、カットスロート・トラウト、ゴールデン・トラウト、亜種など。
 なお、タイセイヨウサケ(アトランティック・サーモン)とブラウン・トラウトはこれまでサケ属に入れられていたが、井田・奥山らはタイセイヨウサケ属Salmoサーモとして別属に独立させている。その理由の一つは、アトランティック・サーモンは一度の産卵で死なず、産卵後も降海して生涯2〜3度の産卵をするからである。その意味でタイヘイヨウサケとは大きく異なると述べている。
 一般にサケというと、サケ属の中で、一般的生活史として降海するものをさすことが多い。一方、一般的生活史として降海しないものがマスと呼ばれている。
【資料】サケ・マス魚類のわかる本, 2000.
→サケ科、サケ亜科、タイヘイヨウサケ、各魚種
 
 
 
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虫の巣、オレゴン州メトーリアス川にて
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